〜 初めての集団生活に伴う精神的負担を軽減させるために 〜
幼児期の精神発達は著しく、乳児期の快・不快の感覚から、わずか1〜2年で感情も多様な形で表出されるようになります。言語や表情ばかりでなく、全身を使って表現する子どももいれば、発声によって表す子どももいますが、大切なことは、子どもたちが感じている心の変化を、大人が言葉にして共感してあげるという関わり方です。
状況にもよりますが、できる限り感情の肯定に努めることが豊かな情緒を育みます。理由もなく「うるさい」「笑わない」「泣かない」「怒らない」と強制してしまっては、自分の感情を内に秘めたまま上手に表現できなくなってしまい、そのストレスがいずれ大きな問題につながってしまう恐れさえあります。「赤ちゃんが寝ているから静かにしてあげようね」「周りの人がびっくりしてしまうよ」と、納得のいく理由を伝えてあげましょう。幼くても子どもはきちんと理解します。
自我の発達に伴い、大人からすると「扱いづらい」状況が続く時期もありますが、基本的に、泣いたりわめいたり暴れたりすることは健全な証拠です。幼稚園生活の中で豊かな情緒を上手に表現できるよう接して参ります。
1歳半頃には、こぼしながらもスプーンを使って口に運ぶことができるようになり、2歳を過ぎるとだんだん上手になってきます。この頃から3歳にかけて、「じょうずだね!」「自分で食べられるの!?」と家族が喜びを伝えてあげると、子どもも喜びを感じ、意欲的に取り組むことができます。情緒や自主性の発達を促すとともに生活習慣の自立を培うことで、入園する頃には、少しはこぼすけれどもスプーンを上手に使えるようにし、できれば箸で食べることにも興味を持たせます。
排泄の自立は、予告をさせることから始まります。「おトイレ」あるいは、「うんち」「おしっこ」と、恥ずかしがらずに言える状況をつくってあげましょう。
子どもにも扱いやすい衣服を選び、家庭のトイレには台を用意してあげます。トイレットペーパーも使うよう導き、不十分な場合はそっと手を加えてやります。特に、朝の排泄が習慣づくように関わり、一日が快適に過ごせるように配慮することが発達を促します。
また、自分で用を済ませることができるようになってからも、時にはおもらしをしてしまうこともあります。この場合には自分で反省しており、叱っても効果はありませんので、「まあ、大変」などと話しかけ、後始末を手伝わせながら、「気をつけよう」と意識させるようにしてあげましょう。
健全な社会生活を送るためには、質の高い睡眠をとることが重要です。しかしながら、現代社会においてしばしば問題になることは、人々の生活が夜に移行しがちであるという点です。家庭やお仕事など様々な事情があるかもわかりませんが、幼稚園生活を楽しく過ごすためには、早寝早起きの習慣が不可欠です。せっかく幼稚園に登園しても、こっくりこっくり襲ってくる睡魔と戦いながらでは、あまりにも可哀想です。毎日決まった時刻に床に入り、部屋を暗くして安眠できる環境を整えてあげて下さい。
子どもの健康は、環境を清潔に保つことばかりでなく、自ら守る習慣を身につけさせることが重要です。外出した後の手洗いうがいや、食事の前、用便を済ませた後の手洗いなどは、なぜしなければならないのかを伝えて積極的に行えるよう導いてあげて下さい。「病気になってしまうよ」「ばいきんがいなくなって気持ちがいいね」「おててがいいにおいね」といった言葉掛けが子どもの意欲につながります。
しかしながら、細菌に対する免疫力を高めるためにも、度の過ぎた衛生管理の無理強いは避けて下さい。